
出典: Amazon
《基本情報》
原題: The Perfect Host
出演:クレイン・クロフォード、デヴィッド・ハイド・ピアース
監督:ニック・トムネイ
製作国:アメリカ 製作年:2010年 93分
あらすじ
警察に追われる銀行強盗のジョン(クレイン・クロフォード)は隠れる場所を探していた。そして、とある高級住宅地に住むスマートな中年紳士・ウォーウィック(デヴィッド・ハイド・ピアース)と出会う。しかし、ジョンが強盗犯だということが判明。ジョンはウォーウィックを脅そうとするが、実はウォーウィックには恐るべきもう一つの顔があった。 引用元:シネマ・トゥデイ
中年紳士、ウォーウィックの変態っぷりがたまらない!🤣知的でスマート、かつ洗練された新種の変態を発見!っという感じです。彼の頭の中には空想のお友達が何人もいて、あ然とする強盗犯を前に、ご機嫌なセレブパーティーをおっぱじめます🍷🎉
舞台の大半は、家の中のみ。二人の会話による心理的な駆け引きが話のメインですが、緊張感のある探りあいや、強盗犯と押し入られた側の力関係が逆転していく様に、ハラハラさせられっぱなしです。エロや流血はなしなので、お子様でも安心して観られますよ、本当に(笑)

(左)手を縛られているジョンと現実の晩餐会 (右)脳内イメージ
イカれたおっさんがスーパーヒーローみたく見えてくる
精神的には普通の犯罪者と、犯罪者ではないけど精神異常者、本当にヤバイのはどっちでしょう?
A…たぶんまあ、観る前から想像はつきますが。試合に使う武器などに差がなかったら、
やっぱり正気の人は、正気じゃない人のキレッぷりにはかなわないですっ。
主人公ジョンは、銀行強盗をして逃亡するも、すぐに身バレして指名手配されるマヌケな男。社会の底辺まで転がり落ちて、犯罪をしてもそれすら失敗するという、いわゆる負け犬。──人間のクズです。
おまけに足を負傷して引きずりながら、逃げ込んだのは、高級住宅街。プールつきの豪邸に住んでいる奴らが、さぞ鼻についたことでしょう。
何の罪もない善良な市民の家に潜りこんで、餌食にしようとしますが、入った家がまずかった! 逆に、異常なパーティーの客として餌食にされてしまいます。
そんな情けない強盗犯にも、同情できる事情があったことがわかってくると、だんだん犯罪者の方が人間味のある「まともな人」に見えてくるから、あ~ら不思議。
「まともな人」の定義が曖昧になっていきます。
しかし、パーティーのホストを務めるウォーウィックにとって、そんな定義は迷うほどもない簡単なこと。昼間は変態ぶりを隠して警部補を務めている彼は、部下の刑事とこんな会話をします。
ウォーウィック「なぜだ。逃げられないのに、奴らは性懲りもなく犯罪を繰り返す」
刑事「挑み続けるのが人間の本能」
ウォーウィック「頭の配線が切れてるんだ。なぜまともになれない。…問題は抑止力がないことだ。シンガポールでは街でツバを吐いたら逮捕。麻薬なら極刑だ」
ましてや法を犯して人を傷つけるような輩なんて、お仕置きされて当然なのであります。
強盗犯を気の毒なほどおもてなしした後は、逃げようとする彼の背中に、さらに追い打ちをかける。
「君は本当につまらない人間だ。戦う気力もなく。私のいうがまま。されるがまま。楽しんですらいた! クズめ。君は使い捨ての記憶にも残らない脇役。何の価値もない。いないのと同じ」
「楽しんですらいた!」って、一応本人に異常って自覚あるんだ…。
ジョンは当然ブチギレますが──
結局、バスタブの中で縛りつけられ、エア・パーティーのシメの、エア立ちバック(空想の女友達を相手に一人で腰を振ってるだけ)を見せつけられます。
(このエア立ちバックをコメディでごまかさず、血管浮き上がらせて額に汗して、真剣に演じている役者魂もすごいよ。ジョンのあきらめの表情もいい)
こんな感じでウォーウィックは異常者ですが、彼なりの美学を貫いているので、最後は妙にかっこいいです。
一体誰がまともで、誰が罰を受けるべき罪人なのか?
最後まで一筋縄ではいかないその結末は、本編で見届けてください。ブラックな笑いをニヤリと浮かべたくなる小作品です。